ジョルジュのメール相手は主としてエフという人物で、彼とはメールを始めて既に一ヶ月ほどたっていた。これだけメールのやり取りをして、まだ会おうとは言ってこない。出会い系サイトでは、普通は2,3日のメールで直に会いたいと言ってくるものである。それで断られたら、その気がないか、サクラであると大抵は気がついて、それ以降メールは送ってこない。 ところが、エフなる人物は、最初にメールをした時点でジョルジュが「すぐに会おうって言うような軽い人とはお付き合いしたくない」と言ったものだから、それを忠実に理解しジョルジュとのメールにお金をかけているのである。いまどきこういう人も珍しい。 そしてもう一人、ジョルジュ的にはお気に入りの人物がいた。 TO:ジョルジュ もうバイト入ってんのかな? あんま悪いことするなよ!帝王からはもうメール来ないの?(笑) FROM:フランシス このフランシスなる人物は、メールをするなりジョルジュがサクラで男であることを見破って、それ以来友達のような感覚で普通にメールをしているのである。 人を騙してお金をもらっているわけだから、あまり気持ちいいとは言えない仕事の中で、彼とのメールのやり取りは息抜きになっていた。 黄泉の帝王の話をしたら、それはおもしろがっていた。しかし、一応会員制のこのサイト、メールをするのにもちろんお金がかかる。それでもフランシスはジョルジュとの他愛のないメールにお金をつぎ込むのだから、彼はよっぽどの金持ちか、物好きのどちらかであろう。 なんにせよ、仕事中に来る彼からのメールはジョルジュにとっては嬉しいのである。 適当に返事を返し、後は今日あったことや、明日の予定。まったく関係のない赤の他人だからこそ、彼にはなんでも躊躇せずに話すことができる。ジョルジュは先ほどのアルマンドとのことでまだイライラを引きずっていた。 『さっき友達と喧嘩したー』 『なんで?』 『くっだらないこと。俺がこのバイトやってること、反対するから』 『まぁ確かにあんまりいいバイトじゃないな。お金ほしいの?』 『そりゃぁあるに越したことはないもん』 『何か欲しいものでもあるの?でもそんなことで友達と喧嘩するくらいなら違うバイトにしたら』 『したらフランシスともメールできなくなるよ(笑)』 『じゃぁ会う?』 キーボードを叩く手が止まる。 会う? なぜ会わなければならないのだ? 確かにフランシスとはメールをしていて楽しいし、ほかのやつらみたいに彼は女に餓えている訳ではなさそうだから会ってもまずいことにはならないような気がする。 しかし……。 浮かぶのは親友の顔。メル友と会うなんて言ったら、アルマンドは怒るだろうな……。 返事を打つ手が止まって暫らくたった。断るにも、それで彼との関係が断ち切られてしまうのはいやだった。 できれば、なんの関係もない赤の他人として、単にメールで好き勝手なことを言える仲でいたいのだ。 液晶のディスプレイがメール受信の表示に切り替わる。どうやらフランシスではない。 新たなアドレスだった。フランシスとのメールの後だと、仕事モードに頭を切り替えるのが難しい。 しかし、メールを開いたジョルジュはポカンと口を開けたまま止まってしまった。 TO:ジョルジュ あんたなに人の男に手出してんの? フランシスは俺の彼氏だから! これ以上あいつと関わったら、どうなるかわかってんだろーな FROM:匿名 「…………(汗汗汗)」 ……つまり、この匿名の誰かはフランシスの恋人で、フランシスから話を聞いたか携帯のメールBOXを覗いたかで、ジョルジュとフランシスの仲を知った。嫉妬にかられたフランシスの恋人が、手を出すな、と警告メールを送ってきたわけだ。文面を見れば一目瞭然なのだけれど、この状況を飲み込むのには時間がかかった。ちなみに、この匿名の彼が、フレデリックの兄だなどとはジョルジュには知るよしもない(汗) 別に自分はそんなつもりでフランシスとメールをしていたわけではないが、もしかしたらフランシスのほうはそういうつもりだったのかもしれない。だから「会おう」などと言ってきたのだろう。 だが、いくら自分に非がないとは言っても、フランシスの恋人らしき男(?)は相当怒っているようだ。彼からすれば自分は彼氏の浮気相手ってところだろう。 一体どう返信したものか。フランシスには自分の素性をしゃべってしまっているし、匿名の彼もジョルジュがどこに住んでいてどこの学校に通っていて、などと知っているかもしれない。 とすると滅多なことはいえない。やはりこんなバイトやめとけばよかった……とジョルジュが後悔し始めたとき、再びパソコンのディスプレイがメールの受信を告げた。こんどはいつもの彼、エフからだった。 TO:ジョルジョル ジョルジョル。今日はちょっと大事な話があるんだ。 今まで黙っていたんだけど…。私は、実は結婚してるんだ。 でも最後まで聞いて。 ジョルジョルとメールし始めてから、私は本当に君のことが好きになってしまった。 いろんなことを楽しそうに話してくれる君とメールをしていると、日頃のいやなこと全部忘れられた。仕事も思ったように行かず、最近は家にも帰っていない。 こんなことを言うのは躊躇われるけど……本当に死んでしまおうかと思った。 でも、拳銃を手にしたとき、君の存在を思い出したんだ。 私には君が必要なんだ。 妻とは別れる。昨日、離婚届を出してきた。 明日の夜、会いたい。ハプスブルクの、船着場で待っている。 君がいなければ生きていけない。 FROM:エフ (……怖―――――ッ!!!/滝汗) ジョルジュは恐怖に椅子ごと後ろにずっこけそうになった。 読めば読むほどわけがわからない。一体いつもの穏やかな彼はどこに行ってしまったのか。 突然妻子もちだとか告白されても、そんなことジョルジュにとってはハッキリいってどうでもいい。 だが、死ぬ?彼は本気で言っているのだろうか。しかも拳銃って……一般家庭に拳銃があるのだろうか? 「君がいなければ生きてはいけない」なんて、……もし約束の場所にジョルジョルが来なかったら、海に身を投げかねないとでも言うような文面である。もし彼が自殺したら?そして警察が彼の携帯電話を調べて……ここのサイトがばれて……この会社に来たら? 「お小遣い稼ぎにちょっかいだしてただけなんですー。まさか死ぬなんてこっちがビックリですよぉー」なんて言って済む問題ではない。仮に彼が自殺をしたにしてもジョルジュに非があるわけではない。だが、もしそうなればジョルジュが会いに行かなかったことが彼の死の直接の原因であることは間違いないのだ。 (いや……まさか……。冗談だろ。ないないない……) 頭の中で必死に否定しても、最悪の妄想はなかなか消えない。さっきもフランシスの恋人だとか名乗る奴からヒステリーな脅迫メールがきたばかりだというのに。立て続けに来た恐怖のメールに加え、今日はこのバイトが原因でアルマンドとも喧嘩してしまった。正に踏んだり蹴ったりの、最悪な日だ。 このことをバイト先の上司に言えば、そんなの気にするな、と軽くあしらわれた。 確かに人が聞いたらばかげた話かもしれないが、当の本人にとっては笑い話ではないのだ。 それにエフという人物は文面からにじみ出る多少の気持ち悪さこそあれ、害のない良いやつだったのだ。 ジョルジュは途方にくれた。何かあってはまずい。だが、会いに行くにしても、エフ氏が思い描くジョルジョルは現実にはいないのだ。ジョルジョルが実は普通の男子高校生で、しかも小遣い稼ぎにメールをしていただけと知ったら、それこそ彼は自殺しかねない気がする。 会って、正直に打ち明けるか。 何も聞かなかったことにするか。 何にしても、とりあえず返事をしたほうが良かったのかもしれないが、なんと返せばいいかわからず、放置してしまった。 時刻は既に夜10時を指していた。バイトも終わり、まだ先ほどのエフからのメールのことを考えながら帰路についた。 家にたどり着くまでの道は暗い。ジョルジュの住んでいるあたりは田舎の団地で、街頭はぽつぽつとあるのみだった。それらも弱弱しい明かりで一定の範囲を照らしているくらいで、本来の役割を果たしているとはいえなかった。 考え事をしながら歩いていると、どんなにゆっくり歩いていてもいつのまにやら目的地についてしまうものである。 ギュスゴロウおじさんが以前住んでいた広場が見えてきた。長い草が明かりに照らされて揺れている。 広場の向かい家々目を向ければ、アルマンドの家の玄関の明かりがついていた。 その明かりに照らされて、庭の石垣に腰掛ける人影が見えた。 「……兄貴?」 ジョルジュが呟くように言えば、その人影はパッと顔を上げた。 「ジョルジュ。遅かったな」 「……うん」 「いつもこんな遅いんだ」 アルマンドは門のところまで歩いてきた。二人は門を挟んで話す形となった。 「だって、学校遅いからさ、しょうがないよ」 「うん……。あのさー」 ジョルジュの答えに適当に返事を返し、アルマンドは門に手をかけ俯いた。 ジョルジュが不審そうに見つめているのに気がつくと、一つ長くため息を吐き、ジョルジュに向き直った。 「あのさ、今日、ごめんな」 「……」 「怒って、ごめんな」 アルマンドはニコリともせず、ジョルジュを真っ直ぐ見て言った。 アルマンドはこういう奴だ。ある部分では肝が据わっているし、いくら仲がいいからといって、そうすべき時には照れ隠しなどせずきちんと向き合うのだ。彼らの年代だと、いつも馬鹿やって騒いでるような連中に、しっかり謝罪をすることができる人間はなかなかいないものだ。 そこがアルマンドの他の人より逸脱したところだったし、ジョルジュにはない部分だった。ジョルジュは何でも笑ってごまかす癖がある。 「なんだよ兄貴、そんな真面目くさって……」 「俺はただ、お前がいつも遅くまで隣の家に帰ってこなくて、いつもみたいにギュスゴロウさんとこにも一緒に行けなくて、お前が離れていってしまうみたいに感じてた。まじで自己中だった。ごめん」 「兄貴……」 そんな風に真摯に謝られると逆に申し訳ない気分になった。何もアルマンドがすべて悪いわけではない。寧ろ、自分の心配をしてくれたアルマンドを、口うるさい、と言って最初に突き放したのはジョルジュなのだ。 それに……。 「兄貴ぃ……。俺、俺も悪くて…。やっぱり兄貴の言うことが正しいんだよ。俺、もうあのバイト辞める……」 「は?なんで?だから、あれは俺が自己中だっただけだから……」 「違うんだよ……。なんか厄介なことになって……」 「何だよ?何かあった?」 ジョルジュは今日のいきさつを話した。 今までメールしてた相手が、なにやら思いつめて死にそうで、会いに行かなければならない。 おまけにほかのメール相手の恋人らしき男から怖いメールは来るしで、散々だ、と。 うな垂れるジョルジュに対して、アルマンドは口角を引きつらせ、笑いをこらえているような表情だった。 目が合うと笑ってしまうのか、アルマンドは地面に落ちている何かを探しているかのように、視線をさまよわせた。 「兄貴……くだらないとか思ってるんだろ(涙)」 「え?い、いや、そんなことねーよ……(汗)」 引きつり笑いをごまかすように、アルマンドの手がジョルジュの頭をくしゃくしゃと撫でた。 「まぁさ、会わなくてもいいだろ。影から様子見てて、死にそうになったら助けりゃいいんじゃねーの?」 「あ…そっか…。でもなぁ……」 「俺もついてってやるし」 「えっ……ほんと!?一緒に来てくれる!?」 仕方ないなぁといった表情でうんうんと頷く彼は、いつものアルマンドだ。 ジョルジュは安心したようにガクンと腰を曲げ、大きく息をはいた。 「あぁーーよかった!!絶対だからな!俺、ほんと死なれたりしたら一生忘れられないもん!それに……一人じゃなんか怖くて……」 「お前〜そういう時は俺に言わなきゃダメだろ」 偉そうに斜め上から見下ろす視線に対して、ジョルジュは満面の笑みを作った。 夕暮れ時の船着き場。 漁から帰ってきて網をたたむ男たちや、船の影を通りすぎる遊び帰りの子供たちがまばらにいた。彼らは、みなどこか急かされているように早足だった。ちょうど家に帰れば暖かい夕飯が待っている時刻だからだろう。 今日は雲一つない良い天気だった。海には夕日が沈み込み、その梺では眩しい光が生まれては消えていた。こんな一日の終わりもいい。 ふと、幼き頃、家の前の広場でみた夕日を思い出した。あそこでは、小さい自分たちの腰ほどもある草が夕日に明るく照らされていて、自分達はまさに光の中にいたのだ。 最近はバイトばかりで、こんな風にゆっくり何かを感じたり、考えたりすることがなかったな、とジョルジュは思った。 だが。 そんな風に感傷に浸っている時間はあまりない。 はっきり時刻は指定されなかったものの、そろそろエフなる人物がきてもおかしくない。 アルマンドとジョルジュは、大きな倉庫の横に積み上げられている木箱の影に身を隠し、目的の人物を探した。 「なぁ、例えば髪型とかさ、どんな体型とかさぁ、なんも特徴とかわかんないの?」 「うーん……。わかんない。でも結婚してるし、メールの文からするとなんとなく30代くらいな気がする……」 「30代ねぇ……全然わかんねぇな」 「あっ…ねぇ、誰かいる……。ほら、スーツの……」 ジョルジュが目を向ける先には確かに一人の男。上質なダーグブルーのスーツは、海と魚の匂いのするここにはどうにもちぐはぐだった。その男は海の先をぼんやりと見つめ立ち尽くしている。 男のところまで幾分距離があるせいで、顔までは見えない。 「あれ……っぽいな。マジでいたんだ(汗)」 「兄貴、近づいてみよう」 二人は木箱の影から抜け出し、倉庫の壁づたいに男に近づく。 ……こそこそと倉庫を迂回する高校生二人組は、端から見ればかなり怪しい。 アルマンドが歩みを止めた。 「兄貴?どうした?」 「いや……」 アルマンドは目を細めて男の姿を観察した。 細身の体型に、固そうな革靴。金茶の髪は模範的営業マンのようにきっちり撫で付けられている。 パッと見、どこぞの金持ちか社長息子のようだが、年はそれなりのようだ。 だが、その姿にアルマンドは見覚えがあった。 「うっわマジかよ……」 「何々??俺目悪いんだよ」 「ありゃぁ……」 その時、男が一歩足を踏み出し、縁に足をかけた。 「!!!!!(汗)」 「兄貴っ!!やばい!!」 二人は駆け出した。間に合うだろうか。男の元まであと30、20メートル……。 「校長ー!!!!」 突然飛び出したアルマンドの言葉に、ビクリと男の肩が揺れた。同時にジョルジュも前につんのめりそうになった。 「は!?(汗)校長!?」 状況を飲み込めていないジョルジュはド近眼である。 「フランツ先生、死んじゃダメだー!!」 驚きに動きが止まった男の元に追い付き、アルマンドは男を思いっきし背負い投げの要領で安全なアスファルトの陸地へ投げ飛ばした。ゴンッという不吉な音がした。 「先生!!一体何やってんですか!!馬鹿なこと考えないで、ほら、しっかりしてください!!」 アルマンドはぐったりと寝そべる校長を抱え上げ、両頬を何度も平手打ちした。 「兄貴兄貴!!死んじゃうから!!(汗)」 アルマンドの平手打ちが効いたのか、フランツは低く呻きながら頭をさすった。 そして二人の姿を視界に確認すると、時が止まったかのようにポカンと口を開けた。 「……え?君は…アルマンド君?なぜここに……」 「そんなことどうでもいいじゃないですか!先生、一体何してるんですか!本当に死ぬつもりだったんですか」 アルマンドにものすごい剣幕で詰め寄られ、気弱なフランツ校長は身を小さくした。 沈痛な面持ちをしているフランツが、ジョルジュにラブラブメールを送っているエフ氏であると知っているアルマンドは、なんとかニヤニヤ笑いを隠すために大声を出さざるを得なかった。 アルマンドが投げ飛ばした拍子に、フランツの上等な上着が擦れて一部色が薄くなっていた。 船着場のアスファルトの上に座り込んだ高級な男が、頭にたんこぶを作り高校生に迫られている。一体この状況は何なんだろう。 フランツの口元が動いたのを見て、聞こえるように顔を近づける。 「もう、人生に疲れたんだ……。家では妻のエリザベートと母のゾフィーが毎日嫁姑戦争を繰り広げているし、学校では校長でありながら母の言いなりだし」 フランツの母ゾフィーは教頭である。確かに週に一度の朝会のときや、行事ごとの際、校長が話している横にはいつもゾフィー教頭が目を光らせている。いつも教頭が用意したであろうカンペを見ながらしゃべる校長を見て、生徒たちは「楽でいいよなぁ」などと考えていたのだが、事実、フランツにはそれがいやだったようだ。 「こないだも、校長室の壁を全面熱帯魚の水槽にしたいって言ったら、有無を言わさず却下されたし……」 (そりゃそうだ…/汗) フランツはなぜか体育座りになっており、膝を抱えた腕に顔を埋めた。なぜこの座り方はどうにも人を卑屈に見えさせるのだろう。いくら上等の服に身を包んでいても、これではどこからどう見てもダメ人間である。 「それに……唯一信じていた女の子にも裏切られたみたいだし……」 ビクーンとジョルジュの肩が揺れた。もともとアルマンドの陰に隠れていたが、彼はますます後ろに引っ込んで自分の気配を消した。 「と、とにかく、先生。はっきり言ってそんなことで死んだらダメですよ。校長が自殺なんて、保護者もビックリですよ。それに、うちの校長はフランツ先生でないと」 アルマンドは対教師用の爽やかな笑顔を作って言った。生徒からの信頼というものは、生徒が考える以上に教師にとっては大切なものである。さすが兄貴、とジョルジュはアルマンドの後ろで感心していた。 フランツは涙を目にたたえ、アルマンドを見上げた。まるで某CMのチワワ……だが、別に可愛くはない。 アルマンドの言葉をかみ締めるようにうつむき、ゆるく首を振ると、フランツはゆっくりと立ち上がった。 「アルマンド君…ありがとう。君みたいな生徒がいてくれて、私は嬉しい」 「あっはっは〜いいんですよ!じゃ、俺らはこれで……♪」 問題解決、さぁ退散、とばかりにくるっと向きを変え帰ろうとするアルマンドの後ろに、フランツはさりげなく隠れているジョルジュを発見した。目が合ってしまったジョルジュは顔を引きつらせた。アルマンドの服の裾を掴む。 「あぁ、ジョルジュ君もいたのか。二人してなんだってこんなところに……。私はここでジョルジョルと待ち合わせをしていたのだけど……ん?ジョルジョル?ジョルジュ……ジョル……」 三人は顔を見合わせた。なんともいえない冷たい空気が三人を覆った。 「いやぁ……、あ、でも別にジョルジョルが女だなんて言ってはなかったですよ〜」 ジョルジュが内心冷や汗だらだらで、へらへら笑いながら言った。 フランツ先生は幽霊でも見たかのようにショックを受けた顔をすると、何事か呟いて後ろに卒倒した。 再びゴンッという良い音がして、彼は今度こそ意識を飛ばした……。 「え!?辞めちゃったの!?」 「あーそうなんだ。紹介しといてごめんなぁ。兄貴に辞めろって言われちゃったからさ」 「なんだぁ〜。俺こないだ面接行って来て、今日初バイトだったのに」 「は!?もうやることになってんの!?」 「そうだよ〜」 「そ…そっか。ま、ほどほどにな」 「?」 TO:エミリー こんにちは(^^) 掲示板からきました。 実は教員だったりします(^^;) よかったらメールしない? FROM:エフ TO:エフ こんにちは☆ メールどうもありがとう(●ゝω・●) 先生なんだぁ♪ 是非是非、メールしたいな♪ FROM:エミリー ……『ハプスブルク高校校長の遺体、東○湾で発見』などというニュースがないことを祈るのみである。